脳死肝移植を受けるには
1.脳死肝移植登録の流れ
脳死肝移植を受けるためには、日本臓器移植ネットワークに脳死肝移植希望患者として登録する必要があります。脳死肝移植適応疾患としては昏睡型急性肝不全やChild-C非代償性肝硬変などがあります。
(脳死肝移植の適応となる病態詳細はこちら)【脳死肝移植レシピエント適応基準】
登録の流れは以下の通りになります。
- 患者さんと御相談頂き、移植施設(脳死肝移植実施施設)を選定します。
- 選定した移植施設にご紹介ください。
(脳死肝移植実施施設の連絡先はこちら)【移植実施施設の一覧と責任者・相談連絡先】 - 患者さんは移植施設を受診後、脳死移植に関する説明
(脳死移植の手順、手術方法、手術後合併症、脳死ドナー発生時の連絡など)を受けます。 - 説明を受けた患者さんが脳死肝移植を希望された場合、適応評価・登録に必要な検査を行います。
(適応評価に用いられる共通書式はこちら)【肝移植適応評価申請用紙】 - 移植施設内で適応の有無が検討されます。
(評価困難事例では、日本脳死肝移植適応評価委員会での審査が行われる場合もあります。) - 「適応あり」の場合、脳死肝移植実施施設から日本臓器移植ネットワークへの登録申請を行います。移植希望登録者情報管理システム(EVAS: Expanded Version of Allocation System)に移植施設より医学的データが入力され、患者さんによる新規登録料の払い込み(または免除書類)が確認された時点で登録が完了します。
(EVAS登録項目はこちら)【EVAS登録項目】
2.移植待機から脳死ドナー発生まで
- 日本臓器移植ネットワークに脳死肝移植希望患者としての登録には、StatusⅠ(劇症肝炎など)とStatusⅡ(末期肝硬変など)があります。
(待機患者の脳死ドナー肝配分優先順位をきめるレシピエント選択基準はこちら)【肝臓移植希望者(レシピエント)選択基準(PDF)】 - ABO血液型によっても順位が変わります。
- StatusⅡは、基本的にModel for End-Stage Liver Disease(MELD)スコアで待機順位が決まりますが、肝機能によらない疾患(多発肝のう胞など)では実際のMELDスコアとは関係なく、登録時MELDスコア換算値(16点など)とし、待機期間によって加点されます。
- 肝細胞癌、肝芽腫、肝肺症候群などは、待機期間によってMELDスコアが加算されます。
- 登録後、患者さんのMELDスコアは定期的な更新が必要です(StatusⅠ登録では7日、StatusⅡ登録ではMELDスコア25点以上の場合14日、19点以上24点以下の場合30日、18点以下の場合90日以内に更新)。更新は登録施設が行います。患者さんを地元の病院で管理している場合は移植実施施設との検査結果の共有をお願いします。
- 日本臓器移植ネットワークへの登録継続を希望する場合には、患者さんは年1回の登録更新と更新料の払い込みが必要です。
- 臓器提供候補者(ドナー)が発生し、登録した患者さんがレシピエント候補者に選ばれた場合には、移植施設から患者さんに連絡があり、移植を受けるかどうかの最終判断をしていただきます。
3.脳死肝移植手術の実施
患者さんが移植を受ける決断をした場合、登録している施設に急きょ入院し手術を受けることになります。
4.脳死肝移植におけるレシピエント移植コーディネーターの役割
レシピエント移植コーディネーターは、移植の全過程において、移植施設における移植医療チームと紹介元の医師とを円滑に調整し、また医療チームと患者さん・ご家族の間に立って両者の支援をおこなっています。具体的には、患者さん・ご家族に対しては、移植に関する情報を提供し、移植をうけるかどうかの意思決定の支援をしています。また移植後は、免疫抑制剤の定期的な内服や感染症への対策などの日常生活指導や体調不良時の相談対応などを行っています。また、各部門と連絡調整を行い、移植医療が安全で円滑に遂行できるよう活動しています。