移植後成績
①脳死移植と生体移植
2020年12月末の集計では、国内で死体肝移植を受けた658名(内、脳死肝移植655例)の方々の累積生存率は1年89%、3年86%、5年83%、10年76%、20年56%です。一方、生体肝移植後の累積生存率は、1年86%、3年82%、5年79%、10年74%、20年66%です。脳死移植と生体移植の差はありません(図2:2020年12月末集計)。
②レシピエントとドナーの年齢(小児18歳未満;大人18歳以上と定義)
脳死肝移植では小児と大人で予後に差はありませんでしたが、生体肝移植における小児と大人の肝移植成績の比較では、小児の累積生存率が1年90%、3年89%、5年88%、10年86%であるのに対して、大人の累積生存率は1年83%、3年78%、5年74%、10年68%であり、小児肝移植の成績が有意に良好でした。10歳ごとに区切った年齢群でも、生体移植では高齢のレシピエントの予後が不良でした。一方、ドナーの年齢について、脳死移植、生体移植ともに、ドナー年齢を10歳ごとに区切った年齢群において、高齢ドナーからの移植ほど予後が悪い傾向にありました。
③血液型不適合移植
生体肝移植では血液型が異なっていても移植が可能です。2016年にリツキシマブが保険適応となり、血液型不適合生体部分肝移植は通常診療の範疇となりました。3歳未満では血液型が一致している場合と全く同じです。成人では、特に2004年半ばよりリツキシマブが臨床使用され始めて以降は、血液型適合と遜色ないほどに改善しています(一致:1年86%、3年82%、5年80%、適合:1年86%、3年82%、5年80%、不適合:1年82%、3年78%、5年75%)。
④再移植
再肝移植での累積生存率は、脳死111例で1年72%、3年66%、5年62%、10年46%である一方で、生体245例でも1年61%、3年58%、5年56%、10年52%であり、脳死と生体ともに初回肝移植より有意に予後が悪くなります。