禁忌・相対的禁忌
まず、提供は本人の自発的な意思によって行われるべきものであり、報酬を目的とするものであってはなりません。そのうえで、健康体であることが必要条件です。
以下の疾患または状態があれば禁忌となります。
- 全身性の活動性感染症
- HIV抗体、HBs抗原が陽性
- 悪性腫瘍(治癒したと考えられるものを除く)
慎重に適応を検討する疾患または状態(相対的禁忌・適応)として
- レシピエントの治療に影響を与える可能性のある合併疾患
- 提供者の手術の危険を高めるか提供手術後に悪化の予測される合併疾患
- 65歳以上の高齢者(年齢の項を参照)
があります。
上記とともに、脂肪肝の有無(30%以上、非アルコール性脂肪肝炎は禁忌。超音波検査、CT検査などで明らかな脂肪肝がある場合は、体重をコントロールし、再検査行い適否を再検討します。)、精神疾患の有無(精神科医による評価が行われ禁忌につき判断)、切除後残肝容積、肝脈管・胆管解剖につき安全にドナー肝切除を行いうるかにつき、各移植施設において詳細に検討されます。
これらのうえで、ドナーにおける危険性、およびレシピエントにおける移植治療による効果と危険性について、当該施設の移植医療チームよりドナー候補者が説明を受けます(インフォームド・コンセントの取得)。この際ドナー以外の家族においても可能であれば説明の場に同席していただくことが望ましいです。ドナーが書面による臓器提供の同意を行えば、ドナーとしての提供手術が行われることになります。