ドナー選定
はじめに
肝臓の提供には2種類の方法があります。脳死ドナーもしくは生体ドナーからの提供です。脳死ドナー提供による肝移植では多くの症例で全肝グラフトを用いた肝移植が施行され、生体ドナーでは肝臓の一部(部分肝グラフト)が用いられます。
このいずれを選択するかにつきましては、レシピエントの状況と生体ドナーの有無を基に移植施設で決定いたします。生体ドナー候補者がいるレシピエント候補者とともにドナー候補者を精査後に移植施設で決定します。症例によっては、レシピエントの脳死肝移植待機登録を先行して行い、生体ドナーでの肝移植施行可否を同時平行で検討する場合もあります。
各移植施設においては、日本移植学会倫理指針を遵守し、肝移植医療を提供しますが、同倫理指針には、生体ドナー保護の観点から各移植施設、移植医療に携わる者は、健常であるドナーに侵襲を及ぼすような医療行為は本来望ましくない、ということを認識しドナー選定を行う事が明記されています。
生体肝移植ドナー選定の手順
生体ドナーの自発的な臓器提供の意思があり、報酬を目的とせず、レシピエントとの金銭の授受がないことが確認されれば、移植施設において当該ドナー候補について肝切除術が可能な状態であるか精査します。一方、臓器の摘出によって、生体の機能に著しい影響を与える危険性が高いと判断された場合には、生体ドナーとしての臓器提供手術が行われることはありません。