一般社団法人 日本肝臓学会

適応

日本移植学会倫理指針に拠れば、生体臓器移植におけるドナーは親族の範囲とされています。すなわち3親等内の姻族、6親等内の血族、配偶者がこれに該当します(民法上での親族)。しかし実際は、前記を条件とし、配偶者および3親等以内程度と定めている肝移植施設も多く、姻族や4親等以上の血族については各施設での倫理委員会等で検討されます

  • 「臓器の移植に関する法律」の運用に関する指針によれば、ドナーが移植術を受ける者の親族である場合は、親族関係及び当該親族本人であることを、公的証明書により確認することを原則とし、親族であることを公的証明書により確認することができないときは、当該施設内の倫理委員会等の委員会で関係資料に基づき確認を実施すること、とされています。細則として、本人確認のほか、親族関係について、戸籍の謄本若しくは抄本、住民票又は世帯単位の保険証により確認することとあります。別世帯であるが戸籍等による確認が困難なときは、少なくとも本籍地が同一であることを公的証明書で確認すべきであること、と示されています。移植施設において主治医、もしくは移植チームメンバーは本人確認を行ったことについてと、その確認資料とを診療録に記載・添付します。
    非親族間の生体臓器移植(ドミノ肝臓移植を含む)を実施する場合には、日本移植学会倫理指針で以下のようにその取り扱いが定められています。その上で勿論、各移植施設での倫理委員会に諮らなければならないのは言うまでもありません。

日本移植学会倫理指針(2021年9月18日改訂版)

年齢

原則的に成人(20歳以上)であり、上限は65歳としている施設が多数です。18歳、19歳については親族間での臓器提供が認められることがあります(条件は日本移植学会倫理指針に拠ります)。日本肝移植学会症例登録報告によれば、本邦における2020年12月末までの生体肝移植ドナー(n=9762)中、60-69歳ドナー(n=455、4.7%)、70歳以上ドナー(n=2 、0.02%)でした。

血液型

原則、血液型一致または適合(表1)ドナーが選択されます。ただし前記にて生体ドナーが得られない場合、血液型不適合ドナー(表1)が検討され、ドナー条件を満たし適格と判断されれば、レシピエントに対する術前治療を行うことにより生体肝移植が施行可能です。日本肝移植学会症例登録報告によれば、全期間で比較をすると血液型不適合移植の術後生存率は有意に低いですが、2016年から2020年までに施行された成人(18歳以上)生体肝移植症例(n=1097)においては有意差がなくなりました。

  • 表1
    ドナー血液型 レシピエント血液型
    一致 A A
    B B
    O O
    AB AB
    適合 A AB
    B AB
    O A
    O B
    O AB
    不適合 上記以外の組み合わせ
  • :リツキシマブを中心とした術前薬物療法。